花に美少年
「だから、めいちゃんと会えた日はラッキーだなって心の中で思ってた」
「なんか、恥ずかしい」
「めいちゃん挨拶し過ぎて、近所のおばあちゃんにみかん貰ったりしていたよね」
「うそ、それも知ってたの?」
「うん。たぶん仕事に行くから急いでいるのに、ソワソワしながらもおばあちゃんの話しずっと聞いてた」
「あ、あれは、だって」
「すごく優しい人だなって思った」
恥ずかしい。そんな姿まで見られていたなんて考えもしなかったし、それを褒められるなんて思いもしなかった。
「可愛くて明るくて優しくて・・・いいなって思いながら見ていたんだ」
「・・・あの、そんなに褒めなくてもいいよ」
「そういう照れ屋で謙虚なところも好き」
「なっ」
「だから彼氏と居るの見たときは地味に凹んだ」
「え?」
結児君が気まずそうに視線を外してから、ゆっくりと話の続きを始めた。
「いつだったか学校帰りに、あのアパートの前にめいちゃんと彼氏が一緒に居るの見かけて、別に告白したわけでもないのに、フラれた並みに落ち込んだんだよね」