花に美少年
「意外って何よ?」
胡散臭いだけでなく失礼な男が、歩を止めて私と向き合った。
「だって、可愛いから」
「・・・は?」
「見た目も声も可愛いから、もっとか弱い感じだと思った」
うん。すっごく失礼。
「だったら他の女連れ込めば?」
「うーん。それは無理」
「どうして?」
「お姉さんだから連れ込んでる」
「なっ」
どこまでが本気で、どこからが冗談なのかわからないせいで、どんな反応をすればいいのかもわからなくなる。
「着きましたよ」
「へ?」
「俺のアパート」
そこは、彼氏ではなかったらしい男と暮らしていたアパートよりも、少しだけ小さなアパート。
だけど初めて見る建物。
大学生だろうこの男が住むには、よく似合うと言えるような普通のアパートの玄関で、私は暫く一人で立ち尽くすこととなった。