花に美少年

「意外って何よ?」

胡散臭いだけでなく失礼な男が、歩を止めて私と向き合った。

「だって、可愛いから」

「・・・は?」

「見た目も声も可愛いから、もっとか弱い感じだと思った」

うん。すっごく失礼。

「だったら他の女連れ込めば?」

「うーん。それは無理」

「どうして?」

「お姉さんだから連れ込んでる」

「なっ」

どこまでが本気で、どこからが冗談なのかわからないせいで、どんな反応をすればいいのかもわからなくなる。

「着きましたよ」

「へ?」

「俺のアパート」

そこは、彼氏ではなかったらしい男と暮らしていたアパートよりも、少しだけ小さなアパート。
だけど初めて見る建物。
大学生だろうこの男が住むには、よく似合うと言えるような普通のアパートの玄関で、私は暫く一人で立ち尽くすこととなった。
< 18 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop