花に美少年
意地悪をされていた頬が、今度は優しく撫でられた。
まるで全てを包み込むように。
「結児君」
「俺は、めいちゃんが彼女になってくれるだけで、充分幸せだよ?」
誰かに愛されることがこんなにも幸せだなんて、今までの私は知らなかった。それを結児君が教えてくれた。
「好き」
ただ一方的ではない恋をしたい。
笑う時も傷つく時も、互いの顔を見合える愛がいい。
「結児君が好き」
「めいちゃん」
「だから私と付き合って!」
きっとこの恋に溺れるのは怖くない。
「めいちゃん、泣き過ぎ」
グチャグチャの視界の中で、結児君が笑ったことだけがわかる。それが嬉しくて、私は両手を伸ばした。
「やっと恋人同士だ」
抱き合った耳元で囁かれた言葉に、嬉しくて何度も頷いた。
幸せでまた涙が流れた。たぶん結児君も泣いていた。
人生は厄介なことの連続だ。
だけど結児君となら、どこまでも乗り越えていける。
そんな予感が今、全身を駆け巡った。