花に美少年

「それはまだこれから」

「え、そうなの?」

「次の土曜日に決行予定」

「いや、そんな得意気に言われても」

面倒くさそうに眉を寄せた弟だけど、「まあ、良かったな」と呟いて、自分の部屋へと戻って行った。

自分でもまだ少し信じられない。
めいちゃんの彼氏になれたことが。
めいちゃんに好きだと言われて、キスまで出来たことが。

「もしもし、めいちゃん?」

「結児君、どうしたの?」

「そろそろ帰ってる頃かなと思って」

「あーうん。さっきちょうど帰って来たところ。結児君は?」

「俺は実家にいる」

弟がいなくなった部屋で彼女に電話を掛ける。
仕事終わりのせいか少し疲れている声も愛おしい。

「そっか。それで?」

「ん?」

「用事あったのかなって」

「用事・・・」

「結児君?聞いてる?」
< 186 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop