花に美少年

テレビ、ソファ、ローテーブル、パソコンが置かれた机、本棚、それからベッド。
如何にも大学生の一人暮らしって感じのワンルームを、ぼんやりと眺める。

「お姉さん、コーヒーでいい?」

「へ?」

「寒いから、温かいの飲むでしょう?」

キッチンから顔を出した男が、気の利いたことを聞いてくる。

「あ、うん。ありがとう」

「どういたしまして。適当に座ってください」

そう言われて、なんとなくソファの下のカーペットの上に座り込む。

何だろう、緊張してる。
それと、何か忘れている気がする。

「はい、コーヒー」

「あ、えっと、ありがとう」

突然後ろから差し出されたマグカップに、驚いて振り返る。

「甘い方がいいならお砂糖持ってきますよ?」

「それなら、ハチミツある?」

「ハチミツ?」

聞き返されてから、恥ずかしくなった。

「いえ、お砂糖ください」

「・・・うん。ごめんね?」
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