花に美少年
何か忘れているような、引っかかるような違和感。
このワンルームのどこを探しても、私の寝る場所なんてないんだけど!?
「まさか、一緒に寝るとか、」
「一緒に寝てもいいけど」
「は!?」
「冗談。お姉さんは上で寝て?」
「上!?」
「うん。上」
そう言って天井の方に向けられた指を辿る。
「・・・ロフト?」
「はい。布団もあるから、好きに使ってください」
天井だと思っていた場所にある、今夜の寝床を見上げながら、長くて厄介な一日を振り返り、何だか笑いたい気持ちになった。
「・・・ありがとう」
天井から湊結児に視線を移すと、その顔が嬉しそうに笑った。
それからは特にすることもなくて、テレビを見ながらカップラーメンを二人で食べた。
食べ終わって少しすると、湊結児がお風呂に行くと言うから、私もテレビを消して、ロフトの上に必要なものを運んで寝る準備をした。