花に美少年
そのせいなのか、服の上からでも筋肉があることが想像出来るくらい、男の人って感じの体型だった。
しかも趣味はサーフィンと聞いて、余計に格好良く見えた。
今思えば、単純過ぎる理由だ。
それでも、やっと訪れた出会いのチャンスに、付き合いたくて必死になった。

つまり結局のところ、私もダメだったのだ。
冷静になれていなくて、男の本質を見抜けていなかった。
考えてみれば、同棲を始めてからも仕事でもないのに夜帰って来ない日もあった。クリスマスだって、職場の人たちとスノボーに行くって言って、三日間も出掛けていた。
何故かその後に、財布が新しくなっていたんだ。
きっと「彼女」からのプレゼントだったのだろう。
だってあの男にはそんなお金はないのだから。
家賃だって気づけば半分以上は私が払っていたし、食費も私のお財布から出ていた。給料が私の方が多いから、仕方ないと思っていたけれど・・・。
たぶんあの男が私と同棲した理由はそこだ。

「・・・お金、返してもらおう」

お風呂で考え抜いて出した答え。
今までの分はもう仕方ないけれど、私の冬のボーナスが入った時に、今後の生活費用に渡したお金がある。
本当は貯金もしたかったけれど、あの男から「給料が減るかもしれない」と突然言われて、今までよりも生活費を出せなくなるかもと相談されたから、もしもの備えという意味で、家賃が引き落とされている口座に私のボーナスの半分以上を入れておいたのだ。
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