花に美少年
【今から少しだけ会いたい】
気合を入れて送ったメールは、意外にもすぐに返ってきた。
【30分後に、公園で】
たったそれだけ。
ごめんも、昨日はどうしたもなく、ただ早く私との関係を終わらせたいって感じのメール。
もう戻ることが出来ないことを、改めて思い知る。
髪を乾かし、身支度を整えると、必要最低限の物だけを持ってその部屋を出た。
手紙と一緒に置かれていた鍵を鞄に入れて、部屋の位置を確認してからアパートの外に出る。
指定された公園は、ちょうどこのアパートと追い出されたアパートの間にある。そこまでの道を、ゆっくりと歩く。
こんな状況でこんなこと言ったら馬鹿かもしれないけれど、早くあの男とのことを終わらせたい気持ちの半面、終わらせることを寂しく思う自分がいる。
だってどれだけ最悪な理由で捨てられても、楽しかった日々は確かに存在していて、私はあの男のことが好きだったのだ。ううん。今だって強がっているだけで・・・。
「ごめん。呼び出して」
「・・・別に」
少し吊り目のこの男が、好きなんだ。
「彼女、大丈夫?」