花に美少年
泣きたいのに、悔しくて泣けなかった。
「今まで相手にしてもらえただけ有難いと思えば?」
そんな自分が、嫌だった。
「とにかく金は返す義理もねーから。これ以上俺に関わるんじゃねーよ」
こういう時に、可愛く泣けたらいいのにっていつも思う。
"もっとか弱い感じかと思った"
初対面の男にそう思われるくらい、可愛くない自分が嫌だった。
「・・・最悪」
「あーそう」
「あんたなんて大っ嫌い!!!」
こんなこと言いたいわけじゃないのに。
本当はまだ・・・
「俺も、お前のこと好きだと思ったことねーから」
人を好きになることは、いつもいつも厄介だ。
こんな痛みを知るために、私は恋をしたのだろうか。
思い描いていたのは、こんなにも虚しい恋じゃない。
涙が、出てもくれない。
あれから何時間過ぎたのかもわからない。
だけど辺りは暗くなってきていた。