花に美少年
「・・・何?」
顔を出した男が、私を見下ろした。
良く知った男。もう半年以上一緒に居る男。
「何で!?」
「は?」
「何なの!?」
「・・・何が?」
「私の鍵、使えないんだけど!?」
チャイムを鳴らす前に何度も鍵を挿し込んだけれど、吃驚するくらい動かなかった。
「ここ、私の家だよね!?」
パニックと言っても大袈裟ではない状態で男の顔を見る私を、そいつはあろうことか迷惑そうな顔で見下ろしてくる。
意味がわからなかった。
何でそんな顔をされるのか、意味が分からなかった。
こんなことって普通、
「私の彼氏だよね!?」
ありえないんだけど!?
「・・・」
「・・・」
「・・・俺、付き合うとか言ってないけど?」
人生は厄介だ。
それが男と女ともなると、尚更厄介だ。
「・・・え、なんて言った?」