花に美少年
「うん。わかった」
「・・・あの、」
「ん?」
「本当にありがとう。助かりました」
頭を一度下げてから、手にしていた紙袋を差し出す。
「めいちゃん?」
「あの日実は福岡で研修があって、帰ってきたところだったの。それで、お土産」
「・・・俺に?」
「あげる相手いなくなっちゃったから、良かったら受け取って」
「いいの?」
「お金はまた後日持ってくるから」
私の言葉を待つように、逸らすことなく向けられる眼差しに、なんだか恥ずかしくなる。
「えっと、本当にありがとう」
お土産の袋を受け取った湊結児にもう一度お礼を言ってから、スーツケースと鞄を掴む。
「めいちゃん」
「何?」
「もし帰る場所がなかったら、いつでも来て良いから」
「・・・ありがとう。でも、大丈夫」
これ以上この場所に甘えるのは、人としてダメだと思う。