花に美少年
だけど馬鹿な私はいつも、
こうやって突然、大きな落とし穴に落ちるんだ。
出来ることなら今すぐに、数時間前に戻りたい。
そして教えてあげたい。これからやってくる厄介な未来なんて知らずに、浮かれていた自分に。




「いいな~芽衣子は帰ったら彼氏が待ってるんでしょ?同棲って本当に羨ましい」

「そうかな?でも面倒なことの方が多いよ?」

「そうなの?」

「うん。だって基本掃除とか全部私だし、ご飯だってたまにしか作ってくれないし。あと、喧嘩しても一緒に居ないといけないし」
「とか言いつつ、彼氏大好きなくせに」

「悪い?」

「全然。合コンで一目惚れして、芽衣子から猛アタックしたんだもんね?それで突然同棲はビックリしたけれど、でもラブラブそうで良かった」

「うん。まあ、そうかも」

「何?照れてるの?」

「え?も、うるさいよ!」

「あははっ!芽衣子かわいいー!」


たった二時間前、研修帰りの新幹線で同期の真奈美とした会話が、今はただ虚しい記憶になる。

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