花に美少年

「マッチョが好きなわけじゃないもん」

「身長は?」

「180はないと思う」

「男くさい感じは?」

「ゼロ」

「え?もしかして女子力高め系とか?」

ロッカールームを出てナースステーションに向かう廊下でも、真奈美が諦めずに聞いてくる。

「いや、そう言うわけでもなくて、何て言うか・・・うーんと、綺麗な感じ?爽やか?うーん・・・何だろう。でも、無駄に色気はありそう」

「ほう」

「とにかく、タイプではないから安心して!」

「ふーん」

「じゃあ、またね」

「はーい」

何か言いたげな真奈美に手を振って、互いの持ち場に向かう。

大きな総合病院と言うこともあり、同期はみんなバラバラの科に配属されている。一年目は色々経験するために、二か月ごとに科を異動して、二年目で配属の科が正式に決まる。もちろんその後も、病院の状況に応じて異動はあるのだけれど。現状では、私が内科で真奈美は小児科に配属されている。
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