花に美少年

「おねーさん?」

月が綺麗に浮かぶ夜、コンビニの袋を持って現れた湊結児が、目を丸くして私を見た。

「ごめん、寒かったよね?」

それから慌てたように扉の前に立つ私に駆け寄った。

「あの、ごめんなさい」

「ん?」

鍵を開けながら、湊結児が私を見る。

「ホテル、見つからなくて」

こんな嘘、吐くだけ無駄なのに。

「そっか」

「それで、あの、本当に申し訳ないのだけれど、えっと、」

「めいちゃん」

ガチャリと扉を開けた男は優しく目を細めると、当たり前のように「おかえり」と言って、私の我儘を聞き入れた。

「・・・ただいま」

恥ずかしくて俯きながら零した言葉に、湊結児がまた笑った。
もしかしたら彼は本当に、神様が私に用意した、天使なのかもしれない。




「私ね、あのアパートで男と同棲していたの」
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