花に美少年

灯りの消えた部屋に、私の声が響く。

「彼氏だったの」

「うん」

「私的には、ね」

「・・・うん」

あの後、私を部屋に入れた湊結児は、何も聞かずに重たいスーツケースをロフトに運んでくれた。
それから、自分は夕飯を食べるから先にお風呂を使っていいよと言った。

あまりにも自然に受け入れられた私は、自分から来ておいて戸惑ってしまった。だけど、図々しく泊めてと言っておいて、遠慮をするのも今更な気がして素直にお風呂を借りることにした。
さすがにシャワーだけですませたけれど、図々しくドライヤーも使わせてもらった。

今朝はあった段ボールは、既に宅配業者の手に渡っていたから、スーツケースに入れておいた部屋着に着替えて部屋に戻ると、コンビニで買って来たらしいお弁当を、湊結児が食べていた。

「めいちゃん、人参好き?」

ハンバーグ弁当を食べていた湊結児は、お風呂上がりの私にそう聞いた。なんでもハンバーグが好物で、いつも好んで買うけれど、付け合わせの人参が嫌いで困るらしい。
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