花に美少年

合コンで知り合った目の前の男を、好きになったのは私だ。
サーフィンが趣味らしい男は、日焼けした肌と茶色い髪が如何にもモテそうな雰囲気を醸し出していた。
一緒に居た友達に「あんたのタイプでしょ？」って聞かれたけれど、まさにタイプだった。
少し吊り気味の目元とか、形のいい唇とか、大きくてゴツゴツした手とか、１８０センチ以上ある身長とか。
挙げたら切りが無いくらいに、タイプだった。

だから必死でメールをして、何とかデートの約束を取り付けた。
それから何度か二人で飲みに行ったりして、気づいた時にはキスをしていた。
言葉なんてなくて、ただ見つめ合った直後に、どちらともなく唇を重ねていた。雰囲気ってやつだと思う。
キスをしたいって、あの瞬間私だけじゃなくこの男も思ったはずだ。
だから、その次のデートの日に初めて訪れた男の部屋で、私から告白をした。

「鉄平のことが好き！」

爆発しそうな心臓を抑えながら気持ちを伝えた私に、男は優しいキスをした。
それから、男の匂いがするベッドの上に私を押し倒した。

なのに、これってどういうこと？
どうして今、こんなことになっているの!?