花に美少年

ロフトの上から響いた私の声を、湊結児は驚くこともなく聞いてくれた。

「同棲を始めたのはもう半年くらい前なの。もちろんその前から付き合っててね?って、言っても付き合い始めて一年も経ってないから、そんなに長く一緒に居たわけではないけれど。でも、でもさ?今少し聞いただけでも、私とそいつがカップルだってわかるでしょう?同棲していたんだから彼氏彼女だって思うでしょう?」

「うん」

「そうだよね?そうなの!だからね、私もそう思っていたの。だってそれが普通でしょう?誰だって自分の同棲相手が彼氏だって思うでしょう?まさか付き合ってないどころか、他に彼女がいて、私は浮気相手って言うか、ただの面倒くさい遊び相手だとは思わないでしょう!?」

「・・・うん」

「ねえ、湊結児の友達にはいる?」

「ん?」

「そういう、クズみたいな男」

「うーん、いないね」

「そうだよね?それが普通だよね。だけどね、そいつは普通じゃなかったの。仕事の研修で私が家を離れている間に、私の荷物全部外に出して、本命の彼女と同棲を始めていたの!しかも、結婚するって!」
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