花に美少年
「話終わったなら、帰ってくれない?」

振り返った記憶の中で、嫌なことに気づいた。

「ま、待って!」

扉を締めようとする男に、慌ててドアノブを掴む。

「何だよ?」

しっかりとチェーンまでしてある扉の隙間から、男が私を見下ろす。
でも、今はそんなことどうでもいい。
正直かなりムカつくけれど、どうでもいい。
今はそれよりも確認しないといけないことがある。

「私って、鉄平の彼女じゃなかったの!?」

デートをして、キスをして、告白をして、エッチをした。
だけど、確かに言われていない。
この男からは一言も、好きも愛してるも付き合おうも。

でもそれって、照れ隠しと言うか、言わないけど伝わってるよね的なものであって、実際に好き同士で、彼氏彼女だからキスもエッチもするわけで、もしそうじゃないなら・・・。

「だから、付き合うとか一言も言ってねーし」

「で、でも、だって!」

「・・・」

「何で、私たち一緒に暮らしてたの!?」

そもそも、この半年間の同棲生活は何だったのって話なんだけど!
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