花に美少年
甘い瞳。ついでに言うと、声も甘い。
ふわふわと砂糖菓子のように、私を狂わせる声。
「うん。めいちゃんが作って」
まるで愛の言葉でも囁くような柔らかく甘美な口調で、湊結児は私を脅した。
「確かに、女慣れしてるわね」
今朝の出来事を話し終えると、真奈美が興味深そうにそう言った。
「そうなの!そうなんだよ!」
「高校生って言っても今はマセてるから、芽衣子よりも経験豊富だったりするんじゃない?しかも甘くて可愛い年下男を演じておいて、急に男を見せるとか高校生が使うテクニックじゃないわ。計算でやってるのか天然でやってるのか知らないけれど、どちらにしても相当モテるでしょうね」
「うん。絶対に計算だよ。それに女もいると思う」
「そうなの?」
「だってね、洗面所に歯ブラシがあるの」
「歯ブラシ!?」
そう。自分のことでいっぱいいっぱい過ぎて、今までスルーしていたけれど、私が初めて泊まった日から、洗面台には結児君のとは別にピンクの歯ブラシが置かれている。