花に美少年
「年下って言っても男だから」
だけど伸びてきた手が、私の足首を掴んだ。
「や、やだ!危ないから!!」
「うん。なら、早くおいで」
「ひゃっ」
掴まれた右足を引っ張られた瞬間、バランスを崩した私のお腹に、もう一方の腕が回された。
「めいちゃん捕まえるのなんて、簡単なんだから」
「は、離して」
「良い匂い」
呆気なく梯子から離れた私の身体を、湊結児が後ろから抱きかかえて、無防備な首筋に顔を埋めた。
「やだ、結児君下ろして」
くすぐったくて、頭がおかしくなる。
「うん。こっちでね」
「え、きゃっ」
膝の裏に器用に腕を回した湊結児は、軽々とお姫様抱っこをして、テレビの前のソファまで私を運んだ。
途中で抵抗するのを止めたのは、暴れるだけ無駄だと理解したから。だって私を抱き上げる腕は、確かに男の人の腕だったから。
高校生だからって舐めてかかっても、きっと敵わない。
結局、ソファの上で下ろされた私は、一人分のスペースを開けて、結児君の借りてきた映画を観ることになった。