花に美少年
少し前に公開されていたSF映画で、ちょっと気になっていた映画だったから、始まってからは文句を言うのを止めた。
電気の消された真っ暗な部屋で視線を横に向けると、真剣に画面を見つめる横顔があった。
高校生と思わなかったのは、一人暮らしをしていたってことや、どこか落ち着いた雰囲気のせいもあるけれど、何よりその顔立ちのせいもあったと思う。
高校生にしては出来過ぎている顔だ。
もちろん高校生でもこれだけ整った顔の子もいると思う。それこそ芸能人とかモデルさんなんかだったら幾らでもいる。だけど、普通の高校生にしては完成され過ぎている。制服を着ている姿なんて想像も出来なかった。
くっきりとした二重瞼に、長い睫毛。
真っ直ぐに通る鼻筋と、少し薄めの唇。
ああ、わかった。
その垂目が際立つのは、目元のホクロのせいだ。
間違ってもタイプではないけれど、正直格好良い。
・・・って、何考えてるんだ自分!?
何を真剣に観察しているの!?
頭を過った言葉たちを掻き消すように、慌てて視線をテレビに戻した。
だいたいこんなに呑気に映画なんて観ている場合じゃないし、面と向かって「ヤリたい」とか言っちゃう男の家に居ること自体、どうなのって話だ。