花に美少年

なのに私の今までの人生を見る限り、それはただの夢物語らしい。そんなのは漫画や小説の中だけらしい。
だいたい何が腹立つって、どいつもこいつも大して好きでもないくせに、きっちりとヤッてることだ。
女がどんな気持ちで身体を許しているかを、全く理解していない。それがムカつく。
愛されていると信じたから、不安を抱きながらも身体を許すのに。蓋を開けてみれば、愛されていない上に、セックスがつまらないと言われる始末だ。
まるで全て私が悪いみたいな言われ方に、今思い返してもムカつく。だったらヤラなきゃいいのに。
ムカついて、ムカついて・・・

「めいちゃん?」

「・・・え、」

「ごめん、怖かった?」

「怖い?」

「映画」

「・・・へ?」

さっきまで肩に寄りかかっていた結児君が、心配そうに私を見ていた。

「だって、泣いてる」

「え、」

「本当に、泣き虫だね」

目尻を細める優しい笑みに、涙が流れていることを知った。
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