花に美少年
私、いつから泣いていたの?
「映画、止めようか」
「あ、ごめん。違うの」
「うん。いいから」
そう言った結児君が、テレビを消して部屋の電気を点けた。
「ごめんなさい、途中なのに」
「別にいいよ。思っていたより退屈だったし」
「でも」
「めいちゃん」
「え?」
ソファに戻ってきた結児君が、眉を下げて私を見た。
それから、
「あんまり泣かれると、我慢出来なくなる」
「結児、くん?」
その腕で私を包み込んだ。
また私、おかしくなる。
「・・・あの、こういうの困る」
「うん。5秒だけ」
「何もしないって言った」
「下心とかじゃないから」
「え?」
私を抱き締める腕は力強いと言うよりも、まるで大切に包むように優しい。
「下心はあるんだけど、今はそれじゃない」