花に美少年
「そうかもね」
「・・・」
「お風呂、行く?」
「え?」
「マスカラ、落ちてる」
指先が、涙の後を拭うように私に触れた。
「口の上手い男は信用しない」
「ん?」
「年下も無理だけど、それ以上に恋愛とか今は無理」
「・・・」
「だから、彼女探しなら学校でして」
ソファから立ち上がった私を、結児君はじっと見上げた後、またゆるりと目を細めた。
「めいちゃんは手強いな」
「・・・お風呂、お借りします」
「うん。いってらっしゃい」
そうやって甘く笑う高校生に、少しムカついた。
誰かと比べられたみたいで、ムカついた。