私は君と嘘をつく
これが一週間前の出来事である。
その時から妙に視線を感じたり、奴が話しかけてくる回数が劇的に増えてしまった。
しまったな。
これじゃあ、女子の視線までこちらに向いてしまうじゃないか
あいつが去ってから、あたしはまた窓の外に視線を向けた。
その時、ちょうど下に先生がいた。
…?いやもうひとりいる…
「あ」
花岡先生…だ。
なんだろうね、あの綺麗な茶色の髪の毛をなびかせて、ただ少しだけ微笑むだけで様になる。
あれが、愛され女子ってやつか
ほら、隣にいる先生も頬なんか染めちゃってさ、わかりやすい
「りっちゃん!何見てるの~??」
「いや、別に?」
「ええ~…あれ、あの人って花岡先生だよね、隣にいるの…あ!林先生だ!」
「あー、そうだね」
「あの二人、最近よく見かけるんだよね~…もしかして付き合ってるのかな!?」
おっと、そんな大きい声で言ったらダメでしょう
このクラスにはその人に恋してる人がいるんだから
なーんてことは言えず
「いや、ないんじゃない?林先生は本気っぽいけど」
「えー、そうかなあ…あ、でも花岡先生、前は吉田先生とも仲良さそうにしてたなあ…どっちなんだろう…」
「変なところに興味持たないの、てかほら、そろそろ授業始めるよ、席戻りな」
「あ、ほんとだ、またね!!」
手をひらひらとして席に戻る光希。
あー、あれこそが愛され女子か。
てか、今の話、きっと聞いていたであろう奴は、どんな反応をしているのか…
あたしはただの好奇心から、桐谷の方に目をやった。
「…」
…あれ、意外と普通じゃん
もっと、あれなのかと思ってた。
ほら、嫉妬?とかやきもちとか、妬いてんのかと思ったら…
いや、でも…やきもちとかやいてる桐谷とか…
「プッ」
考えただけでも面白いわ
腹抱えたいくらい笑いたい
今の少し吹き出しただけで近くの人は振り向いてしまった
どうしよう、これで変な人だと思われたら。
そうしたら、完全に桐谷のせいだからね
あいつの好きな人ばらしてやろう