私は君と嘘をつく


これが一週間前の出来事である。


その時から妙に視線を感じたり、奴が話しかけてくる回数が劇的に増えてしまった。


しまったな。
これじゃあ、女子の視線までこちらに向いてしまうじゃないか

あいつが去ってから、あたしはまた窓の外に視線を向けた。


その時、ちょうど下に先生がいた。

…?いやもうひとりいる…


「あ」



花岡先生…だ。
なんだろうね、あの綺麗な茶色の髪の毛をなびかせて、ただ少しだけ微笑むだけで様になる。

あれが、愛され女子ってやつか

ほら、隣にいる先生も頬なんか染めちゃってさ、わかりやすい



「りっちゃん!何見てるの~??」


「いや、別に?」


「ええ~…あれ、あの人って花岡先生だよね、隣にいるの…あ!林先生だ!」


「あー、そうだね」


「あの二人、最近よく見かけるんだよね~…もしかして付き合ってるのかな!?」



おっと、そんな大きい声で言ったらダメでしょう
このクラスにはその人に恋してる人がいるんだから


なーんてことは言えず



「いや、ないんじゃない?林先生は本気っぽいけど」


「えー、そうかなあ…あ、でも花岡先生、前は吉田先生とも仲良さそうにしてたなあ…どっちなんだろう…」


「変なところに興味持たないの、てかほら、そろそろ授業始めるよ、席戻りな」


「あ、ほんとだ、またね!!」




手をひらひらとして席に戻る光希。
あー、あれこそが愛され女子か。



てか、今の話、きっと聞いていたであろう奴は、どんな反応をしているのか…

あたしはただの好奇心から、桐谷の方に目をやった。


「…」



…あれ、意外と普通じゃん

もっと、あれなのかと思ってた。
ほら、嫉妬?とかやきもちとか、妬いてんのかと思ったら…


いや、でも…やきもちとかやいてる桐谷とか…

「プッ」


考えただけでも面白いわ
腹抱えたいくらい笑いたい


今の少し吹き出しただけで近くの人は振り向いてしまった

どうしよう、これで変な人だと思われたら。


そうしたら、完全に桐谷のせいだからね
あいつの好きな人ばらしてやろう







< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop