私は君と嘘をつく


ゆびきりのあと、何事も無かったかのようにあたし達は戻った。

帰りのホームルーム。


「はい、じゃあ今から委員会決めていくから、やりたいやつ挙手~」


藤本先生が委員会名を次々と読み上げていく。


あたしは去年と変わらず選挙管理委員に立候補した
選挙の時しかやることがないし、最高の委員会だと思う


光希は体育委員に、城島と立候補して、桐谷は図書委員に立候補していた。


さすが特進科。
勉強したいがため、トントン拍子で次々と決まっていき、10分程度で決まってしまった。


「これで終わりにするから、家帰ったら勉強しとけよ~」


言わなくてもみんなしてますよ、なんて思いながら、あたしも帰りの準備をする。
はやくしないと




あたしは高校生になってからアルバイトを始めた。
その理由は、1人暮らしを始めたからって言うのが1番大きい。

お金は送ってきてもらってるけど、そのお金はあまり使ってなくて、
いつかのために貯めておこうと、ほとんど手つかずのまま。


「りっちゃん!またね!」

「じゃーなっ」


光希と城島に手を振り返し、あたしは教室を出る


テストがもうすぐあるからか、特進科の面々は足早に帰っていく
あたしもその波に乗って昇降口から外へ出た。

そしてそのまま、バイト先であるカフェに向かった。







_____カフェ



「いやー、ごめんね!テスト期間なのに」


「いえ、全然大丈夫ですよ」


「あああん!!いい子!やっぱりいい子!」


このテンションの高い人は、
あたしが働いているカフェの店長、柏木さん。
綺麗なお姉さんで、とても30代には見えない


「店長!!お客さんいないからって店頭で大きな声出さないでください!!」


そう言いながら自分も大声で話してしまっているのは、大学二年生の花本さん。
大学生はあと4人居て、全員女性

あたしがここを選んだのも、女性が多いからって言うのが大きい


「そういえば、志吹さんは進学するんですか?」


「そうですね、一応」

「そっかあ!頭良いから、どこでも行けちゃうね!」

「花本さんみたいに推薦貰えるように頑張りますね」

そんな他愛もない会話をしていると、お客様が来店した。
その人物をみて、あたしは今までにないほど驚いた。


「あ、いらっしゃいませ〜」

「じゃあ、志吹さん、お水お願いできる??」

「……分かりました。」



「失礼致します。お水をお持ち致しました。」


「あら、志吹さん…?ここでアルバイトしていたのね。」

「はい。先生は…デートですか?」

「ふふ、どうかしらね」

「…ご注文がお決まりになりましたら、お声がけ下さい。失礼致します」

「ええ、ありがとう。」



茶色の髪の毛
両耳に2つずつ開いたピアス
今どきの流行りに乗った服


ただの大学のお友達か、それとも恋人か。
もしかしたらそれ以外のくだらない関係なのかもしれない


だけど私には全くと言っていいほど関係がないし、ましてや、興味なんてものは微塵も持ち合わせていない。

ただ、あの窓際に座っている女に好意を寄せている男が、もしここにいたら、どんな反応をするのか、気になってしまった。


「…うわ」


自分の事ながらゾッとした。
あーあ、全部花岡先生のせいだ
先生の友達か知らないけどそいつのダメージジーンズが膝から下全部破れますように。














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