16年間、一緒にいてくれた君へ。~人生の最後はやっぱり君と過ごしたい。~
「喧嘩の原因は?」

「うーん...私が素直じゃないからかな?...」

相変わらず、桃花の表情は見えない。

返す言葉が見つからない...

もしも、相手が有紗だったらすぐに慰めてやれたのに...

桃花が相手だと、いつもの自分でいられなくなる。

先に沈黙を破ったのは桃花だった。

「有哩は?
モテるんだから、好きな子とか彼女とかいないの?」

「好きな人はいるけど...」

「えっ、誰?」

「.....も、桃花...」

「えっ、何て?」

勇気がなくて小声でしか言えない自分がほんと、嫌になる。

「秘密。」

「えー...
いいじゃん、別に教えてくれても...」

「俺のことはいいから。」

「もしかして有紗とか?
禁断の兄妹愛?いやー、前々からシスコンだとは思ってたけど...」

「違うは、アホ!てか、シスコンでもない!」

「そんな、ムキにならないでよ。」

そう言って、さっき落ち込んでいたのが嘘みたいに明るく笑う。

「ほら、髪乾いたよ!
早く、リビング行こ!」

ほんと、素直じゃないやつ...

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