消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
自覚ある奴と自覚ない奴のコンビネーションは、時にミラクルを起こしているのかと思うくらいには、ノーガードの僕を突いてくる。
現に今も……
「直人はあれだ。基本の精神構造が脆くできてるからな。
たまには労ってやらねえと可哀想だよな」
「せめて繊細と言おう。可哀想だから」
「そーだな、可哀想だからな」
「ああ、可哀想だ」
こいつらは、とことん人の傷口を抉るのが好きらしい。
特に、明らかに面白がっている方は疑いようもない確信犯だ。
“可哀想”と連呼されて、案外本気で自分がそうだと錯覚しかけてしまう僕はあれだ、結構な具合で毒されている。
「で、だ。お前結局諦めんのか?」
「……その、方がいいんじゃないかなと」
大本に戻って問いかけてくる哲に、急速に小さくなりながら答える。
と、哲は面倒くさそうにため息をついた。