消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



「あー、そ。よぉーく分かったへタレ野郎」


「……へタレって、引きずらないと話できない…?」


「お前、ここで男見せとかねえといつまでもへタレは直んねえぞ。
つかあれだ、お前はチキンだ。分かってんのか、このチキン野郎」


無視……!!


ショックを受ける僕を余所に、哲が言葉を並べ立てる。



正直、グレードアップされる呼び名の方が気になって前の言葉は数秒と頭に残らなかった。


へタレからチキンときて、名前にさらに格上げされたら、たまったもんじゃない。


もう代名詞が尽きてもいいと思う。


そうじゃないと、僕の精神がやられそうだ。



「聖司……」


コンビの相方に助けを求めて振り向くけど、所詮は無駄なあがき。


「チキン、受け入れよう」


謎の助言をもらって撃沈された。


本人に悪気がないのは分かってる。


精一杯の気遣いは友達として好感が持てるし、無駄に良い奴なのがまた責められない要因だ。


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