消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
【聖司side】
「ったく、アイツもやればできるじゃねえか」
「あまりからかってやるな、哲」
「手のかかる奴だな」とケラケラ笑う哲を、小さくため息をつきながら諌める。
「からかう?んな面倒なことするかよ」
「端からはそう見える」
「なんだよ、ただの親切心だろ。分からないふりはやめろよ」
確かに、背中を押したと言えなくもない。
……ただ無駄に態度が大きく見えただけだ。
もっとも、直人がそれに気付いているかどうか。
もしかしたら今頃、本気で敵愾心でも燃やしているかもしれないが。
素直なのが良いところではあるが、あまりやり過ぎるといい加減怒りそうだ。
……ああ、もう怒っていたか。
去り際の直人を思い出して訂正する。