消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
そう思えば、哲のやり方も決して良いとは言えない。
だが少なくとも、こんなに穏やかな目をした哲が何より友人思いであることを俺は知っている。
不器用なやつを二人も持つと大変だな。
ふっと笑った後、不意にかねてからの疑問が持ち上がる。
「哲。あの子、変だと思わなかったか?」
「ん?そーか?すっげえ美人ってことを除けば普通の子だったろ」
「……そうか」
ただの思い過ごしだろうか。
何か、会った時から彼女に違和感があったが、気のせいなのかもしれない。
そうこうしているうちに直人たちが遠くに行ってしまい、見失ってしまった。
「あいつら見えねえな」
「この人混みだからな。様子を見てこよう」
「おー。バラけるのもあれだしここで待ってるわ」
言いながら、側の石段に座り込んでスマホをいじり出した哲。
……面倒を押し付けられたか。
はあ、と再度ため息をついて直人たちを探しに人混みに向かう。