消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
言い淀む彼女に、畳み掛ける。
「君の対応は自分を貶めるだけでなく、相手にも失礼な行為じゃないのか?」
これでは、真摯に待ち続ける直人が可哀想だ。
俺の言葉を聞いて、彼女は唇を噛み締めて俯いた。
「分かってるよ。直人くん、優しいから。だから、何度も何度も縁を切ろうって思ったんだよ?だけど、連絡が来るとすごく嬉しくて、決心が鈍っちゃうの。だから……」
やがて顔を上げた彼女は真っ直ぐに俺を見て、はっきりと告げた。
「ごめんね。私、直人くんから身を引けないよ。
直人くんを忘れるなんて、元の生活に戻るなんて出来ない」
決意を固めたような顔つき。
それを見て、ふっと肩の荷が降りたような気がした。
これで大丈夫そうだと確信したからだろうか。