消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
「話してて分かったよ。遠山くんも柾くんも、友達思いで優しい人だって。直人くんの友達だからかな」
優しい人だと他者を誉めながら、自身も優しい顔をする。
君も十分優しい人だ。
言いたいことが相手に伝わらないのは心苦しかった。
哲のようにはっきり相手に物申せるのは羨ましいと思っていた。
直人のように、自分に素直に生きられるのも簡単にできることではないと尊敬していた。
だけども、今回は……
俺は少しでも誰かの、直人の為になっただろうか。
そうなら俺も満足だ。
人混みをかき分けてこちらに走り寄ってくる直人を見つけて、密かにそう思った。
【聖司side end】