消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
ぴくりと肩を揺らして、バッと顔を上げた彼女は心底驚いた顔をしていた。
一瞬落ちる沈黙。
そして……
「…び…っくりしたあ…。
直人くん、あれ、え?わあ、随分早いね!どうしたの?」
時計を見て、まだ約束の時間まであることを確認した畑中さんは目をパチパチさせる。
「畑中さんこそ…早いね。いつもこんな感じなの?」
「えっ!あ……ううん、違う違う!今日は早く起きちゃって、たまたまだよ!?」
……嘘だ。
僕がこんなに早く来るとは思わなかったからなのか、その動揺は目に見えて分かる。
もう取り繕ったようにしか見えない。
「ほ、本当だよ!」
探るような視線を向けると、焦りを隠し切れないまま勢いよく立ち上がる。
と、慌てていたせいで膝に乗せていたカバンが落ちて、中身が盛大にぶちまけられた。