消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



「誰を描いてるの?見た感じ男だよね、それ。あ、もしかして、好きな人……だったり…?」



何を聞いているんだろう、僕は。


場をつなぐためだとしても最低だ。


勝手に人のものを見て、嫌がる相手にこれでもかと言及するなんて。



話題を変えないと。


いや、まずはきちんと謝らないと。



「あ、いや……ごめんね。僕には関係ないことだった」


はは、と乾いた笑みを見せながら、引きつりそうな口角を必死に持ち上げる。


「本当にごめ——」


「そんなこと、ない…」


「……え?」


「関係なくなんか、ないっ…」



そんなことない…?


関係なくない…?


……どういう意味だろう。



よく理解できていない僕を振り返った畑中さんは、悲痛な面持ちだった。


涙に濡れる大きな瞳が僕を捉える。


どきり、心臓が高鳴った。


< 125 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop