消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
「誰を描いてるの?見た感じ男だよね、それ。あ、もしかして、好きな人……だったり…?」
何を聞いているんだろう、僕は。
場をつなぐためだとしても最低だ。
勝手に人のものを見て、嫌がる相手にこれでもかと言及するなんて。
話題を変えないと。
いや、まずはきちんと謝らないと。
「あ、いや……ごめんね。僕には関係ないことだった」
はは、と乾いた笑みを見せながら、引きつりそうな口角を必死に持ち上げる。
「本当にごめ——」
「そんなこと、ない…」
「……え?」
「関係なくなんか、ないっ…」
そんなことない…?
関係なくない…?
……どういう意味だろう。
よく理解できていない僕を振り返った畑中さんは、悲痛な面持ちだった。
涙に濡れる大きな瞳が僕を捉える。
どきり、心臓が高鳴った。