消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
何かを決意したような、そんな顔。
畑中さんは僕に何を伝えようとしているんだろう。
促されるままにスケッチブックを受け取って、中を開く。
1ページ目を開くと、下書きなのか、大まかな人の線が描かれているだけだった。
僕がさっき見てしまった絵とあんまり大差はない。
次のページも、次も、そのまた次も……
ページを進めても、視点が違うだけでどれも下絵には変わりなくて。
時々、目や鼻などのパーツがあるものも見かけるけど、そのどれもがぼんやりしていて、誰を描いているのかは分からなかった。
ただ、特徴は捉えているから一人の人物を描き続けているということだけは分かる。
「これ、全部下書きなんだね」
パラパラとめくりながら呟くと、畑中さんは小さく首を横に振った。
「ううん。それで終わりだよ」
「え?」