消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



大丈夫だろうか。


声をかけたほうが……


いやいや、知らない奴が自分が降りる駅を知ってるなんて、一種のホラーだ。



物音を立ててみるか?


手を叩くとか、足踏みしてみるとか……


明らかに怪しいだろ!!


下手したら不審者扱いだ。



そうこうしているうちに、電車は駅のホームへ入っていく。



……そうだ!


スマホの曲を大音量で流せばいい。


通知音にも聞こえるし、それほど違和感もないはず。


急いでスマホを操作するけど、焦ってなかなか扱えない。



わたわたしているうちに、電車が停車。


軽快な音と共にドアが開いて、駅メロディーが流れ出す。


——と。



その音に反応したのかは分からないけど、身動ぎの後、目を覚ました彼女は眠そうな顔で辺りを見回して、目を見開いた。


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