消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
ドアが閉まる寸前、間一髪でホームに滑り出た。
あ、危なかった……。
ふう、と息をついて、周りを見渡す。
初めて降りる駅。
大きな建物はあまり無くて、小さな商店が何軒か駅の外に見える。
あまりごたついてなくて、かといって寂れているわけでもない。
閑静で住みやすそうな場所だな。
…っと、目的を忘れるところだった。
ホームから上に続く階段を見つけると、ちょうど彼女が上っていくのが見える。
「待って…っ」
声が小さくて、届かない。
小走りに近づいて、もう一度声をかける。
「あ、あの…!すみませんっ」
2メートルほど手前に来て、彼女が振り返った。
二重まぶたの大きな瞳が、僕を見つめる。
けど、すぐに目を逸らされて、じっと窺うように視線を落とされた。
僕が着る制服の胸元についている校章を見ているのか。
見知らぬ相手、と警戒されているのだろう。