消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
今の僕は、さぞ間抜けな顔をしていることだろう。
「あの、もしかしてこれを届ける為にわざわざ電車を降りて追いかけてきてくれたの?」
数度、無言で頷く。
「そっかあ。ごめんね、面倒かけて」
言った後、ちらりと僕の制服に目を向ける。
「その制服、なんとなく見覚えあるな。
あれだよね、難関大学に行く人も多い、有名な進学校」
「え……あ、うん。えと、君の学校に行く途中の駅で降りるんだ」
小恥ずかしく思いながら、一瞬遅れて頷き返す。
確かに、難関大の進学率は全国でも高い方で、頭の良い生徒が結構通っている。
とはいえ、普通の公立高校だし、哲みたいな校則破りも存在する。
彼女が通う名門私立に比べたら、差は歴然。
というか、比べることさえおこがましい気がする。