消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



笑いかけてもらえた。


言葉を交わせた。


名前を知ることができた。



全部、望んでいたこと。


いいな、と思っていた。


けど、諦めていたこと。



それが、いっぺんに叶ってもう、一生分の幸せを使い果たしたような気になるのは大げさだろうか。


けど、それだけ僕にとって大きなこと。


今までには考えられないくらいの大進歩。



もう、どんな悪いことが起きても、今日のこの出来事の反動なんだと思えるくらいだ。


それでも、悪いことがいくら起きても足りないくらい、幸せが大きすぎて計れない。



友達?……多分、まだ違う。


恋人?……全然届かない。



ただ名前を名乗り合っただけ。


知り合ったばかりの関係。


言ってしまえば、スタートラインに立っただけなのかもしれない。


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