消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
僕が立つ向かい側のドア横の手すりに掴まって収まった、いつもの定位置。
今日も狂わず、時間ぴったりだ。
乱れた前髪を直すように俯かせた横顔が、人2人ほど挟んだ隙間から伺える。
分かりやすく、心が揺れ動いた。
やっぱり綺麗だな。
普段の僕なら決して思わないような言葉、口にしないような台詞も、彼女相手になら素直に思えるから不思議だ。
無論、彼女にとっては他人である僕が本人に伝えるなんてこと、できるわけもなく。
眼中にすら入っていないのは明白だ。
折り目のない膝丈のスカート、制服のボタンはきちりと締められ、腰までまっすぐ伸びた艶やかな黒髪は自然で清楚。
清潔感を漂わせる外見と、ふとした時に見せる、たおやかな仕草。
常の振る舞いから真面目な子なんだと思わせる。