消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
「直人?どうかしたのか」
「……え、あ、ああ……いや。どうもしないけど」
「……そうか」
一瞬遅れて反応した僕に、同じく間を置いて頷いてきた。
怪しまれただろうか。
そう勘繰ってみるけど、表情が変わらないから一見しても分からない。
だからといって、あまりジロジロ見るのも逆効果な気がする。
元来、嘘をつくのが得意じゃない僕。
一方で、聖司は人の機微に聡いところがあるし、そういう意味では気を付けないと。
「で?で?もっと詳しく教えろよぉー」
…どうしてだろう。
妙に機嫌がいい哲に、一抹の不安がよぎる。
それは、これまで粗暴な扱いを受け続けたせいか、ここにきて哲への不信感を僕に植え付けた。
当人も敏感に感じ取ったのか、いっそ清々しいほどの笑顔を貼り付けて詰め寄ってきた。