消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
というか、ハリセンなんてそんな都合よくあるわけ……
「ああ、ここに」
「…あるのか!!」
「おー、さんきゅ」
いやそんな、真顔で鞄から出すとかやめてくれ。
渡しちゃいけない奴に平然と渡さないでくれ。
そもそも……
「なんで持ってるんだよ!」
「…たまたま」
「たまたま!?」
「必要な気がしたから持ってきた」
「確実に誰かをいびるため為だろそれ!!そしてその誰かは僕だろ!……あいたっ!」
言っている間に、脳天を襲ったバシン、という衝撃。
思ったほど痛くはないけど、ビックリはする。
「おー、綺麗に入ったな。なんだこれ、厚紙か?」
「ああ、高級紙だ」
「すっげ。これは俺も気合い入れてかねえとな」
にっこりと笑う哲に相反して、僕の顔色は悪化の一途を辿っているだろう。