消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
「……え?」
突然のことに、どうしていいか分からずに立ち尽くす。
戸惑いを帯びた声が喉の奥から絞り出されて、状況は、より現実味を増した。
今の距離で、気付かないわけはない。
何より僕は、彼女の正面から近付いたから、それは無いんじゃないか。
なら、気付いていてわざと?
頭の中がさっと冷えていく。
やっぱり僕は嫌われていたんだろうか。
弱気な自分が顔を出して、心底嫌になる。
落ち着け、落ち着け。
畑中さんは、そんなことはしない。
そう思うことで必死に自分を保つ。
落ち着いて考えると、そう卑屈になることでもないと思えてきた。
そもそも、待ち合わせて時間通りにこの駅で降りた彼女が、目の前で約束を反故にするなんてこと、するだろうか。
……しないだろうな。
なら、やっぱり……
ふっ、と息をついて、改札を出ようとしていた畑中さんに声をかける。