消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



不快な時なら顔に出るだろうし、嫌なことがあるならはっきり言うに違いない。


影でこそこそするような真似は絶対にしないと思う。



ああ、でも良かった。


嫌われていたわけじゃないんだと、気分が楽になった。


今すごくほっとしてる。



「一応近くまで行ったんだけど。そんなに存在感なかった?」


苦笑して尋ねると、彼女はブンブンと首を振る。


……かわいい。


その仕草が妙に必死で、和んでしまった。



「違う違う!私ね、ちょっと目が悪いの。
たまに眼鏡かけたりコンタクトもしたりするけど、普段は裸眼だからぼやけて見えないこともあって」


「そうなんだ?」


「うーん、やっぱりいつも持ち歩いてた方がいいかな」


眼鏡、かけたところ見たことないな。


まあ、電車に乗るときくらいしか畑中さんを見ることもなかったから、仕方ないかもしれないけど。



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