消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
昨日のあれは、継続していたのか。
苦し紛れの言い訳だったから、反故になったものかと思っていたけど。
彼女はきっちり覚えていたらしい。
と言うことは、だ。
畑中さんは最初から、そのつもりで僕に接してくれていたのだ。
どうしようもなく、嬉しくなる。
そろそろ帰るか、と。
これ以上は、にやけて醜態を晒しかねないと立ち上がる。
「ねえ、直人くん」
「ん?」
呼ばれるままに振り返る。
「——ありがとう」
それが何に対してのものだったかは分からない。
それよりも、満面の笑みを浮かべる彼女が、本当に嬉しそうで。
僕は、赤面していると自分で分かるくらいには、顔が熱くなってしまった。
畑中さんに見られるのは恥ずかしくて。
夕陽に紛れていたと信じたい。