消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
*
家に帰ってから、僕はメッセージを打っていた。
《前略、親愛なる友人殿へ。
僕、橘直人はようやく今日、一歩前進できたと思います。
つきましては、失恋会改め祝辞を頂きたく存じます。
詳細は明日、また改めて》
格式ばった文面を読み返して、少し考える。
再び画面に指を滑らせた。
《——追伸。
ただの知り合いではなく、僕はやっぱり彼女と友達だったみたいです》
送信して、画面の電源を落とす。
そのまま寝堕ちてしまった。
会ったら僕はまた、彼らにからかわれるんだろう。
でもまあ、それもいいかもしれない。
一緒に馬鹿騒ぎするのは嫌いじゃないんだ。
明日はどんな話をしようか。
放置されたスマホが2件の着信を知らせる。
《堅苦しいメール寄越すなwwでもま、お前にしちゃ上出来じゃね?
仕方ねえから、じっくり話聞いてやるよ》
《承知した。張り扇は封印だな、祝辞の内容を考えておく。
おめでとう、ここからだ》
僕がそのメールを見るのは、目が覚めてからだ。