消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
来たら隠してしまうし、僕も聞いたことはないから、内容がどんなものかは知らない。
今日も僕は、素知らぬふりでそれをやり過ごす。
「今日も暑いね」
「そう?私は意外と平気!」
そりゃあ、それだけ薄着なら……
ちらり、畑中さんの格好に目を向けて、慌てて逸らす。
淡いピンク色のふんわり広がる膝丈ワンピース。
腰元には太めのベルトが緩く巻かれていて、おそらく飾りなんだろう。
編み込んでいるのか、いつもは下ろしている髪を後ろでアレンジを加えて束ねている。
毛先のほうが少しふわふわしていて、巻いているのが分かる。
器用だな、と感心してしまう。
期待と印象を良い意味で裏切らない、清楚な身なりに胸が高鳴る。
ここで一言、「かわいい」とでも言えたらいいんだろうけど、哲の言う通り、所詮チキンな僕なのだ。
こういう点では否定はしない。