消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
頰に当てられたそれは、体の熱を一気に冷やしてくれる。
まだ未開封のスポーツ飲料。
「あげる。さっきそこで買ったの。
直人くんもっと塩分取ったほうがいいんじゃない?ちょっと顔色悪いよ」
ぴとり、白くて細い指先が額に触れて、僕の思考を停止させる。
華奢な手首が眼前にある。
あ、柔らかい…。
って、変態か!!
「だ、だだ、だ大丈夫だから!」
「ん?“だ”が多いよ」
ばっと飛びのいて、下心を断ち切る。
間延びしたような表情でふにゃっと笑ってみせる彼女は、実は確信犯じゃないか。
僕の反応を見て楽しんでいるんじゃないかと思う時がある。
「っい、行こうか!」
ぐい、と手を引いて早足に歩き出す。
後ろで足がもつれかけている彼女の様子には気付かない。