消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
「直人くんってすごくギャップがあるよね」
「ぎゃ、ギャップ…?」
文字通りの目が点状態だ。
何を言っているのかよく分からなくて、目を瞬いて見る。
「普段は恥ずかしがるのに、言うときは言うでしょ。
ホラーが苦手で、感動映画に泣いちゃうような涙もろいところがあったりして可愛いし。そうかと思えば苦いのが好きだったり、けど甘いのも好き。
意外と好き嫌いしなさそうだね」
指折りに挙げていく畑中さんの言う通り、だいぶギャップというか、もっと言えば偏りというか。
そういうのがあるなとは思う。
にしても、これは……
「もう端から端まで横断してるみたいな偏り方だね」
思っていても、なかなかはっきり表現できなかったものを、彼女が代弁してくれる。
聞いた瞬間、「それだ!」と心の中にするりと落ちてくるくらいに納得できた。